2005年03月01日
これが浜岡5号だ!
拙 浜岡原発リポートから移植し若干の改稿をしたものです。元々は2004年の5月の記事です。5号機は2005年1月18日から営業運転に入っています。
即刻止めなくてはいけない浜岡原発で、新たに5号機が稼働しました。出力138万キロワットは国内最大です。
これで原発震災ロシアンルーレットには実弾がもう一つ装填されたことになります。
写真は5号機(撮影時はまだ臨界前)。これは発電所東側のゲートです。テロに備え静岡県警の装甲車が配備されていました。軽機関銃も保有しています。このゲートを一歩越えるとたぶん捕まるのでしょう。核燃料の搬入・搬出もこのゲートを使います。
左の建物が原子炉建屋、右がタービン建屋。排気筒は高さ70m。他の炉より30mも低いのです。(これは放射性ガスの排気筒です。)なぜ5号機だけ30mも低いのか不明です。
5号機着工時、地元には総事業費4800億円と説明されています。ところが完成してみると3600億円。
5号機は「チリも積もれば〜」的なコストダウンの努力の結晶かもしれません。排気筒が30m低いのもその一つではないでしょうか。
2004年の美浜原発の事故ではっきりと露呈した定期検査の徹底した効率優先主義は原子力産業の隅々まで行き渡っています。これは非常に恐ろしいことです。
浜岡原発5号機は2004年2月20日に燃料が装填され、3月24日には臨界を迎えました。4月30日には発電を開始しました。今回の発電開始で実質的には、浜岡原発(5基)の総出力は499.7万kwとなり、新潟県の東京電力柏崎刈羽原子力発電所821.2万kwに次ぐ国内2番目の原発基地となりました。
チェルノブイリ事故の後、日本は20機もの原発を新設させてきました。しかしあの事故以降計画され、電源開発調整審議会で建設が決定し営業運転を開始したのは、宮城県女川(おながわ)3号と、この浜岡5号の2機だけです。
5号機は2004年4月30日発電を開始しました。2005年1月18日には営業運転となりましたが、実際はそれまでも立派に発電し送電していました。試験運転と称する間送電する電気には課税されないのです。
ところで1月22日の中日新聞(東京新聞)の取材に対して、中部電力浜岡原発の広報は「浜岡の場合、全長約ニキロ、幅約六十〜八十メートル、高さ約十〜十五メートルの浜岡砂丘の一部が津波から原発を守る防波堤になっているのだ」と説明していますが、この写真で分かるとおりそんなものはありません。五号機の原子炉建屋は海から非常に近いところにあります。写真では工事中の様子ですが、人口の防波堤を作っているところなのかもしれません。
計画には無かった5号機
浜岡で反原発運動(浜岡原発問題を考える会)が始まったのは、この5号機の建設計画が上がると時同じくして阪神大震災が起こった後でした。(地元では1号機誘致のときから、増設のたびに反対運動があったようです。町中をデモ行進している写真を見る機会がありました。)
浜岡は日本で最も住宅地と近い原発であると言われています。もともと敷地がとても狭いのです。5号機を建設できる土地はありませんでした。
4号機増設申し入れの時、
「浜岡原発は4号機で終わりなんだ、4号機まで造らせて欲しい、浜岡は4つまでが計画であってそれで終わりですから、何卒よろしく」
と説明したのは当時の浜岡原発総合事務所長をやっていた蓮見洸一氏です。(この人は後に中部電力取締役副社長にまで登りつめています。浜岡原発を経歴した人はみな急速に出世しています。)
「敷地的に狭いから、もうそれ以上は無理なんだ」という理由だったそうです。
にもかかわらず、5号機はさらに山を切り崩して敷地を作りました。
改良型原子炉……ということは1〜4号機は?
浜岡5号は現時点で国内最大出力の原子炉です(138万kw)。改良沸騰水型(ABWR)という新しい構造です。これは国内では柏崎6号と7号についで3つめです。ABWRは日本が初めてで、メーカーは誇りに思っているらしく、台湾に輸出しています。従来の沸騰水型(BWR)との主な違いは以下の通り。
1. 鉄筋コンクリート製格納容器の採用
従来は鋼鉄製だった。これにより構造が大きく変わり、建物の重心が下がり、耐震性が増したという。容器の厚さは約2m。
2. 原子炉内蔵型再循環ポンプ
再循環ポンプとは圧力容器の中で冷却水を効率よく燃料に回すためのポンプです。従来は圧力容器の外部に配管を経てポンプを設置していましたが、ABWRでは圧力容器に直接10台、頭を突っ込む形で、モーター部が垂下しています。インターナルポンプといって、羽根車が圧力容器内で回転します。つまり、配管がありません。
これはまさに、従来の(1〜4号機)再循環ポンプがいかに地震に弱いかをよく知っている証拠だと思います。
しかし今度は圧力容器内で回転中の羽根車が破損して飛び散るような事故が起きれば、直接燃料棒を破壊する危険性があると指摘されています。
3. 改良型制御棒駆動機構の採用
制御棒とは燃料集合体の中に出し入れする、言わば原子炉のONとOFFをするものです。従来のBWRでは水圧で駆動していたのですが、ABWRでは緊急用に水圧、通常は電気を利用しています。電動式にした背景には、それによって出力制御がし易くなり、危険が伴うという理由で日本ではまだ実用化されていない出力調節運転が目論まれているのではないかと言われています。
この最新式の制御棒駆動は3月16日の初臨界テスト中にトラブルが発生しその日のテストを中止しています。
最新式は、いろいろな問題を改善しているとは言え、初期不良がとても多いのです。
同じABWRである柏崎7号では2004年2月3日にECCS(非常用炉心冷却装置)に異常が起きています。
これほど改良を施したということは、それ以前の原発にそれだけの問題があったということです。
撮影は2004年6月12日
上から2番目の写真のみ、2004年3月6日


