2005年03月06日
春の雪の日に『春の雪』の映画化の話題
妻夫木という俳優はあまりよく知らないのだけど、松枝清顕という“不安に憑かれた男”をいったいどう演じるか。
竹内結子も僕はあまり買っていないけど、今をときめく女優で綾倉聡子を演じられるのは興業性も含めると彼女くらいなのかなあ。これは難しい役ですよ。
僕はこの作品は高一のとき読んで、とても興奮したのを覚えています(笑)。そして、とてつもなく美しい作品だと思いました。
とーーっっても、映画化が難しい作品だと思いますよ。だからまったく期待はしていません。
ところで三島ですが、僕はまったく彼は小説がヘタな人だと思っています。蓮実重彦なんかが言うようにそれは「愚鈍」ではなく「凡庸」の方に近いタイプの「ヘタ」さです。どちらかというと「売れる小説」を書く人ではないでしょうか。
そもそも彼には傑出した作品というのがありません。平均点は高いのですが。多くの人が認める最高傑作は『仮面の告白』でしょうか。『金閣寺』ですら凡庸さを回避できていないと思います。
三島のあの語彙や表現の量の多さは、彼の決定的な小説的不器用を補完するためのものではないでしょうか。
しかし最近になって僕は、その徹底的凡庸さが逆に一種の「小説的愚鈍さ」を醸しだしているような気がしてきました。
柄谷行人は三島の小説について「風呂屋のペンキ絵のようにスタティック」と言っていました。(『闘争のエチカ』)だとすれば『春の雪』は優雅絢爛なペンキ絵。やはりこんな豪奢な作品はほかに見当たりません。
どんなに「凡庸」でも、あの過剰性はやはりひとつの「愚鈍」でしょう。
いずれにせよ興味は尽きない作家です。小説はヘタだけど、人間性、人生、どこをとっても「全身小説家」だと思います。
突然ですが、僕の好きな三島作品ランキング
第1位 春の雪
第2位 獣の戯れ
第3位 真夏の死
第4位 鏡子の家
第5位 天人五衰
第6位 愛の渇き
第7位 盗賊
このくらいでしょうか。『潮騒』はまだ読んでいないんです。そういえば『近代能楽集』もまだ。『卒塔婆小町』なんかが入っているやつですね。
『獣の戯れ』というのはこれまた凡庸な作品ですが、なぜか好きです。『愛の渇き』もそうですが、この2作品は東海放送あたりがドラマ化してもいいんじゃないでしょうか。(もうしているかもしれませんね)
『真夏の死』は短編。テーマは秀逸。『盗賊』は彼が「ラディゲの向こうを張りたいと思った」作品。解説にもあったけど「骨だけをしゃぶっているような作品」。
『仮面の告白』『禁色』『憂国』などはあまり好きになれません。



