2007年04月22日
八戸漁港の水揚げ60%減について
冒頭に追記しましたように,僕は,魚介類たちが放射能の臭いや味がわかって三陸から逃げていってしまった,なんてふうに考えているわけではありません。
ただ漁業の事情がまるでわからない東京の者から見ると,あの八戸漁港が今年になっていきなりマイナス60%と聞くとそんな風に一度は考えてみたくはなりました。
これにはいろいろな事情と現実があったようです。
八戸漁港はイカの水揚げが日本で1位で,全漁獲のなかでもイカの比率がダントツで高いようです。
参考 はちのへの水産
http://www.city.hachinohe.aomori.jp/sangyo/suisan/genkyo.html
だから,イカの豊/不漁によって八戸漁港の水揚げ高というのはかなり左右されるわけです。
イカのなかで本来,もっとも安定した漁獲があるのが,スルメイカで,三陸沖では主に小型イカ釣り船が捕っていました。これは逆に考えると,小型イカ釣り船で適量を捕っていたから,安定した漁獲を確保できていたのです。
ところが,それまでサバやイワシを獲っていた「まき網漁業」と,タラ類を獲っていた「底曳き網(トロール)漁業」※が,乱獲によって漁獲が減ったため,スルメイカに参入してきました。
※トロール漁業は、サバやイワシではなく,タラ類を捕りすぎたのだそうです。訂正させていただきました。4/23
これには「TAC(=漁獲可能量)制度」というものが複雑に絡んでいるそうです。本来これは海産資源の再生産に必要な資源を確保するのが目的なのですが,どうも悪用されているようです。
とにかく,網を使って根こそぎスルメイカを捕られてしまい,近年は減少の一途をたどっているのだそうです。
「釣る」という漁法は捕獲量に限度がありますし,それに,イカには学習能力があって,何度も同じ針を見ると慣れてしまい,食いつかなくなるのだそうです。
それと,産卵期間近の成長したスルメイカは,悪阻で食欲がなく(笑),針に喰いつきにくいのだそうです。子孫を残す本能でしょうかね。
それに対し網漁はまさに「一網打尽」に捕ってしまうわけです。
しかも「底引き網」にいたっては,海底を平らにし,魚の棲息場所や産卵場所を破壊しまいます。再生できなくなるのです。
とにかく「網漁」による乱獲で,まず彼らが専門としていたサバ(八戸沖は好漁場)やイワシを激減させ,スルメイカを捕るようになり,こんどはそれを激減させている,というのが現状のようです。
今年の八戸漁港の大幅な落ち込みというのは,新聞記事にあるようにアカイカの不漁が原因のようです。
しかし,もともとアカイカというのは水揚げが安定していないものだそうです。
アカイカは網漁が禁止されているので,乱獲とは関係なく,新聞記事にあるとおり「海洋条件の悪化」としかいいようがないのだと思います。
「ペルーイカの水揚げがなかった事情」というのは「重油高騰」という事情が絡んでいるようです。重油価格は,5年前の約2倍になったということで,これは大変ですよね。
もっともペルーイカを捕るかどうかはほかのイカの価格とも関係するようです。
以上のようなことが「八戸漁港の水揚げがマイナス60%」の背景のようです。
漁業もいろいろな事情や問題を抱えていて,奥が深く,問題の根も深いようです。
こちらのサイトとその作者の方からいろいろと学びました。ありがとうございます!
漁師のつぶやき
スルメイカに関するTAC制度の目くらまし
八戸港の水揚げ60%減/3月
八戸市水産事務所は九日、三月の八戸港水揚げ実績をまとめた。水揚げ数量は二千七百四十七トン、水揚げ金額は八億四千四百万円と、それぞれ前年同月に比べ60%減、40%減の大幅な落ち込みとなった。アカイカの不振や、ペルーイカの水揚げがなかったことも響いた。
三陸沖のアカイカは今漁期、海洋条件の悪化により極端な不振のまま、三月上旬で水揚げを終了した。この月の船凍アカイカの水揚げは三十三トンにとどまり、豊漁に恵まれた前年同月の二千八百七十九トンに比べ1%程度の水準にとどまった。
こうした状況から、中型イカ釣り船はスルメイカ漁にまわったため、船凍スルメイカの三月の水揚げは千二百九十トンと、前年同月の三トンから大幅に増えたものの、アカイカの不漁を補えなかった。
ペルーイカの水揚げがなかった事情も重なり、主力のイカ釣り全体では、千三百二十九トン(前年同月比75%減)、三億四千五百万円(同59%減)と低迷した。
機船底引き網は千二百六十一トン(同9%減)、四億一千六百万円(同7%減)だった。



