2007年06月17日
リチャード・ダッド 「妖精のすみか」 (1841)
訂正:この作品が描かれたのは1841年です。表題に1941年とありました。間違いです。リチャード・ダッドは1817年に生まれた英国の画家です。
彼は早くから才能を発揮し,数々の優れた作品を描いていました。
ところが20代の半ばから精神を病み,26歳のとき発狂し父親を殺害してしまいました。
散歩に誘い出し,公園でナイフで刺し殺したというのです。
直後フランスへ逃走しようとしましたが,途中でまた人を殺そうとして捕まりました。
その後,69歳で亡くなるまで,精神病院で絵を描きながら過ごしたそうです。
精神病院で描いた「お伽の樵の会心の一撃」が彼の代表作となっています。この絵はいろんな解釈がされていますが,とにかく,「空白恐怖」と言うのでしょうか,画面を埋め尽くさずにはいられないというふうな構図になっています。
「妖精のすみか」は24歳のとき,つまり発狂する前の作品。
この作品も「空白恐怖」とまではいかないものの,ひとつも動かすことができないほど完璧すぎる構図です。
僕はこの作品の,楕円の画面の中に背中を丸めた“妖精”が収まる構図を見ると,アングルの作品「トルコ風呂」を思い浮かべます。「トルコ風呂」は真円の画面の中に裸の女たちが「お伽の国」さながらに様々な姿態でのけぞっている様子が描かれており,構図としてはまさにこちらも完璧です。
アングル(1780-1867)の「トルコ風呂」は1863年です。真相は不明ですが,アングルがダッドの「妖精のすみか」を見て密かに影響を受けたのかも?という想像は楽しいものです。



