2007年10月25日

地震時の緊急停止=スクラムの必要性と危険性

「ほろ酔いエッセイ」などと題していますが,今日こそは本格的に酔っています。(タイトルが変だったので後から直しました)
さて,

先日,北海道の泊原発で,非常用ディーゼルが動かなくなり原子炉を停止させるということがありました。(時々起動試験をしている。)

非常用ディーゼル発電機というのは,発電を緊急停止させたとき,主に原子炉に残った熱を冷却するための電力を得るための装置です。

1つの原子炉に通常2基,多いものでは3基ついています。そのうち1台生きていれば電力は間に合うそうです。

1基でおよそ5000Kwの発電をする超大型エンジンです。それを2基も余分に備えているということで,それがいかに重大な装置だと考えられているかがわかります。

泊原発の場合は,起動試験のとき2基あるうち2基とも起動しなかったそうです。それで法令により原子炉を停止させたのです。

何もなくても2基とも起動しない。そういうこともあるのです。

浜岡原発が東海地震に襲われたときは,震度7の揺れの中でこれらのエンジンが起動しなくてはいけません。

僕はこれまで原発のことを何度も航空機に喩えてきましたが,
震度7の揺れの最中に原子炉を停止させ非常用ディーゼルを起動させるというのは,あたかも,地面の揺れを逃れるために,その揺れている滑走路から航空機が離陸しようとするような,無茶な行為だと思います。

中部電力は,裁判のなかで,想定されている東海地震では安全に係わるいかなる装置も耐震性が確保されていると述べていました。

そうなのならば,僕が中電に訊きたかったのは,その,想定された東海地震が起こったとき,なぜ第一に原子炉を止めなくてはいけないのですか?ということでした。

中電の説明が真なら,止めない方が安全だと思います。

なにも震度7の揺れのさなかに制御棒を差し込むことはないでしょう?

なにも震度7の揺れのさなかに,原発の生命を維持する電源を止め,ディーゼル発電に切り替えることは無いでしょう?

揺れがおさまってから,1基ずつゆっくり止め,順番に冷やしていけばいいのです。

原子炉を止めて,実質的に止まるのは,タービンと発電機だけです。

しかし,現実はやはりタービンを止める必要はありそうです。
3年前の中越地震のとき,7号機のタービンは軸がわずか0.7mmずれたことで緊急停止させました。

今年の中越沖地震では6号機のタービン羽根に破損が認められています。停止翼と動翼が接触したらしいのです。それらは最小3mmの隙間しか無いのだそうです。

じっさいは地震が発生してから,原子炉が緊急停止し,1,800回転/分のタービンが止まるまでは一定の時間がかかります。

その間に破損する可能性もあります。回転時のタービンの破損は,“タービンミサイル”と呼ばれ,羽根が銃弾のように外に飛びます。タービン建屋の側壁が頑丈に作られているのは,“タービンミサイル”が外の構造物を破壊させないためです。

特に浜岡5号は,設計ミスの弥縫策として停止翼が後から付加されています。

沸騰水型の浜岡の場合,タービンの破壊は,原子炉から発生した水蒸気が,非常に高い圧力で外部に噴出することになります。つまり大規模に放射能が漏れることになります。

とりとめのない話になりましたが,結局,止めておくしかないのです。それ以外の選択はどれも非現実的です。

しかもできるだけ早く。そして,できれば新しい使用済み燃料を安全な場所に移送する措置も必要です。

柏崎刈羽で破損が見つかった6号機はメーカーは違いますが,浜岡5号は同じタイプの原子炉(ABWR)です。

明日どういう判決が出ようと5号は直接関係ありません。世論の力で止めるしかないのです。世論の力がまだまだ必要なのです。

senza_fine at 22:43 │TrackBack(1)原子力ミニコラム第2巻 

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