2008年09月30日
「ベティの小さな秘密」を観ました
「ミツバチのささやき」では、アナ・トレント演じる少女アナが「私の名前はアナよ」と夜空にむかってささやく、最後のとても美しいシーンがあります。それはアナが納屋でみつけた脱走兵にかけた言葉でした。アナは、脱走兵をかくまうことはできませんでしたが、つかの間の心の交流がありました。その後脱走兵は射殺されてしまいます。
しかし思いがけないことに、作品を観たら「ミツバチのささやき」よりも、そのアナ・トレントが主演しているもう一つの代表作、カルロス・サウラ監督の「カラスの飼育」を彷彿とさせるシーンや設定がいくつもありました。
たとえば、ベッドの中で両親のけんかが聞こえてきて耳をふさぐところ、ピアノを弾く母、しかも彼女は結婚によってピアニストとしての才能を封じられたというエピソード、「自殺」への憧れと祖母の存在、柄の大きな家政婦、ウサギを飼っているところ、ませた姉、階段の場面設定、などなど。
おまけにアナ・トレント少女時代最後の作品「エル・ニド」に出てくる血で誓いをするシーンまで出てきます。
少女が物置で、あるひとりの大人と心の交流をするところ、少女の真夜中の家出、大人たちの捜索、大人に果物を差し出すシーンは、「ミツバチ〜」のものだと思いました。
ヴィクトル・エリセやカルロス・サウラの作品、そしてアナ・トレントと比べられてしまうとさすがに「ベティ〜」の監督も女の子もつらいでしょうが、アナ・トレント三部作が脳裏に焼き付いている人はたぶん気になってしょうがないと思います。でも知らなくても十分楽しめる映画です。いやむしろ知らない方が楽しめる、単独でも上等の作品だと思いました。



