2010年10月18日
シルビアのいる街で

8月からやっていた渋谷での上映はとっくに終わり、横浜の下町、伊勢佐木町(京急黄金町)の「ジャック&ベティ」に。
評判通り素晴らしい作品でした。
「シルビア」役のピラール・ロペス・デ・アジャラ。
臙脂色のノースリーヴ、石畳を歩く後ろ姿が印象的。
ついにライトレールの中で二人が会話を交わすとき、彼女の汗ばんでバター色に艶めく胸元がひときわエロスを放つ。
彼といっしょにシルビアを追ってきた私たち鑑賞者にとっても、それは彼女の実体に最接近した束の間の、フィルムに感光された忘れられぬ記憶となる。
実体が遠のき、行きすぎるライトレールの大きな窓に走馬灯のように映る、「シルビア」の幻影。
汗ばむ季節。汗を奪い、熱を冷まように、「シルビア」たちの幻影の髪を吹き上げる風。
季節は初夏から夏。まだ明るい、ストラスブールに響き渡る教会のヴェスパーチャイム。この作品の最高のBGMだった。