浜岡原発・原発震災

2009年03月19日

「耐震」というなら大地震でも原子炉を止めるな

志賀原発運転差し止め訴訟は,棄却されてしまいました.大変残念ですが,原告のみなさんは最高裁までがんばってほしいと思います.

陸電に言いたいことは,原発直下でのマグニチュード6.8の地震にも「耐震」が確保されているというのなら,その地震の際にも緊急停止させずに,通常通り発電しつづけろ,ということです.

そういう設計にしてあるなら,あぁほんとに「耐震」なんだな,と安心できます.

だって万が一のことが許されない原発にとっての「耐震」ってそういうことでしょう?

しかし実際は直下でM6.8の地震が起きれば,原子炉は自動で緊急停止します.

そういう設定にしてあるのは,(送電線を含む)なんらかの故障や破損を前提としているからです.

しかし原発は,飛行機の離陸と着陸同様,停止時と起動時がもっとも危険です.

直下M6.8の揺れの中で,なんらかの故障や破損を抱えた条件下での原子炉停止というのは,車輪が出ないまま着陸するとか,揚力が足りず近くの川に着水するとかいう話に相当すると思います.

あの「ハドソン」級の奇跡が求められるのです.

直下M6.8の揺れの中での原子炉停止というのは,一か八かの「賭け」の領域への突入であり,もはや「耐震」の問題ではないのです.

しかし,自動停止させる設計になっているということは,すなわち「耐震」(不備)の問題なのです.

拙連載:
「地震と原発」一口講座インデックス

参考拙記事:
東海地震,浜岡原発には奇跡がいくつ必要か

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2009年01月08日

浜岡原発はなぜ浜岡(御前崎)にあるのか

浜岡6号増設については,いくつもの新聞が社説で取り上げていました.
どちらかというと1号と2号の「廃炉」が話題の中心でしたが,どれもが6号増設と東海地震への不安に言及していました.

そんな中あいかわらず旗を振って中部電力を応援していたのは,いうまでもなく読売と産経でした.

読売が原子力推進であるのは,日本の「原子力の父」と言われる正力松太郎が,現在の読売の実質的な「父」であることから,わかるような話です.

一方,産経が原子力推進であるのは,読売ほどあからさまなルーツはありません.

しかし,浜岡原発とは強い因縁で結ばれています.今の場所に浜岡原発を誘致したのは,フジサンケイグループの「父」,水野成夫だからです.

水野は,静岡県佐倉村に生まれました.
(佐倉村はその後1955年周辺町村と合併して浜岡町になります.2004年には御前崎町と合併して御前崎市になりました.)

佐倉村は,御前崎岬から西に7〜8km,筬川(おさがわ)と新野川に挟まれた,海岸線2.5kmほどの地区です.現在は浜岡原発が陣取っています.

水野は佐倉尋常高等小学校に入学し,中学は静岡市内の(旧制)静岡中学に行っていますから,幼年期10年あまりは佐倉村で過ごしたと思われます.

水野は住民に,これからはますます電力の需要が伸び原子力発電の時代となる.小さな工場をいくつも誘致するより発電所をお引き受けなさい.泥田に金の卵を生む鶴がおりたようなものです,と話したそうです.(『佐倉の歴史』より)

地元が生んだ財界四天王・マスコミ三冠王の言葉に,原子力がなんだかわからない地元の誰もが一斉にほだされたのは想像に難しくありません.

水野は地元にそうとうの愛着があったのでしょう,晩年佐倉に帰ることを考え土地を探していたようです.が,夢叶わず,浜岡1号建設中の昭和47年に亡くなりました.

水野成夫がいなければ,あるいは彼が佐倉の出身でなければ,原発があのような危険な場所に造られることはありませんでした.水野は,日本のポピュリズム総動員国民だけでなく,世界でもっとも危険な原発も生み出していたのです.

しかしおかしなことに,水野を「父」とする産経新聞がちょうちん記事を書いている一方で,水野を実の父とする水野誠一は,いち早く浜岡原発の一時休止を訴えていました.少なくとも本格的に訴えた最初の財界人ではないでしょうか.2001年には,浜岡原発の休止を訴え静岡県知事選挙に立候補しました.(結果,落選)

水野誠一『静岡県は大丈夫か?』
(この本では水野成夫と浜岡原発との関係には触れていません.)

【浜岡原発廃炉と6号増設に関する社説】

浜岡原発 廃炉と新設を着実に進めよ(12月26日付・読売社説)

【主張】浜岡原発訴訟 中部電力は一段と備えを

浜岡原発廃炉 新設の計画は慎重に(東京・中日新聞)

浜岡原発 今よりリスクを高めるな(毎日新聞)

耐震強化が迫った原発廃炉(日経)

浜岡原発 震源域での新設大丈夫か(山陽新聞)

原発の置き換え 伊方にとって人ごとではない(愛媛新聞)

[浜岡原発] 新設には慎重な判断を(南日本新聞)

浜岡原発 廃炉は妥当、新設は慎重に(岐阜新聞)

原発廃炉/後始末がいよいよ問題だ(神戸新聞)

浜岡原発廃炉 老朽化にどう対処するか(新潟日報)

浜岡原発 必要性の議論が不可欠だ(琉球新報)

原発廃炉  安全確保に万全の態勢を(京都新聞)

原発廃炉 安全性確保へ万全の態勢を (熊本日々新聞)

原発の廃炉 寿命尽きても課題山積(北海道新聞)

浜岡原発/6号機新設は慎重検討を
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2008年12月30日

浜岡5号 また停止

12月27日に、51日ぶりに原子炉を再稼働させたばかりの浜岡5号ですが、12月30日午前0時39分に原子炉を手動停止させました。

中部電力プレスリリース

原子力ひとり資料情報室 浜岡5号


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2008年12月23日

黒澤明「夢」が放映されます

黒澤明の1990年の作品『夢』が12月23日午後9時からBS2で放映されます.

没後10年 黒澤明特集
http://www.nhk.or.jp/kurosawa/

赤富士01「夢」はオムニバス作品ですが,この中に「赤富士」という一編があります.

これは原子力発電所が爆発するという夢の話です.

富士山があって原発があるというと,これは浜岡原発でしょうか.ちょうど浜岡6号機の話が持ち上がっているところですが,6基が次々と爆発するという事態は,原発震災以外では考えられないでしょう.

赤富士02これは夢の話ですが,放射性物質に色を付けるということ以外は,現実に起こり得る話です.

浜岡原発リポート 〜原発震災「夢」の現実味〜


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2008年12月13日

浜岡6号増設計画をあなどるな

きょうは浜岡1号・2号の廃炉計画が明るみになると同時に、6号増設の計画まで出てきました。

1号と2号の廃炉については、浜岡裁判原告団や原発震災を心配する私たち市民は歓迎しています。
しかし、6号増設計画については「とんでもない」「正気の沙汰ではない」と真っ向から全面否定しています。もちろん私も同じ意見です。

しかしながら、この増設計画、よっぽどのことがない限り実現してしまうと思うのです。原発の増設計画は、表沙汰になったときはもう根回しが済んでいると読むのが正しいと感じているからです。

5号機増設のときもそうだったのです。土地は無い、地震の心配がある、5号機なんてあり得ない!だれもがそう思っていました。
ところがしっかり作ってしまいました。

しかも、6号増設は、5号のときより現実味があると思うのです。

浜岡5号東隣に空いている土地。筆者撮影。2007年8月ひとつは、土地が用意されています。ここの土地は現在では中部電力のものです。以前から不気味に空いていました。これについて書いたこともあります

もうひとつは、送電設備が余っているのです。高圧線は1系統で原発2基ぶん送電できます。浜岡原発は3系統あり、5号機のときに新設した1系統が空いています。

浜岡原発高圧線(写真は原発から北に約1kmの地点。左が3号機と4号機の高圧線。右が5号機のもの。)

送電設備の増設は原発誘致・建設に匹敵するほどのコストや労力(土地買収など)がかけられています。5号の増設のときはそれも同時に行ったので大変でした。6号増設では電線を張るだけで済むのです。それで施設利用率もあがるというものです。

それと、地元では5号機の建設が終わった頃から、町全体に閑古鳥が鳴き始め、6号機増設の声があがっていました。

以上のことから、よっぽどのことでも無いかぎり6号機はできてしまうと思うのです。なんとかせにゃあきまへん。

浜岡6号増設想定地赤く囲ったところが、6号機を増設する予定と思われるところ。

senza_fine at 23:05|この記事のURLTrackBack(0)

浜岡1号・2号を廃炉へ?6号機増設へ?

13日の静岡新聞は1面トップで大きく、「浜岡原発1、2号廃炉へ」「6号機新設を検討」とあります。

「住民の感情に配慮」「6号機に置き換え 経営効率改善図る」
「地元反応さまざま」「御前崎市長『聞いていない』」などとありますが、Webには今のところ掲載されていません。(その後掲載されました)
静岡新聞)(中日新聞

浜岡1号2号は、国内商用原発では最長の停止状態が続いています。

(以下の部分は削除しました。これを書いたときは寝ぼけていました。5号機の東隣には増設が可能と思われる土地があります。)

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2008年01月21日

浜岡3号に回収ウランを装荷

浜岡3号が19日から定検に入りましたが、今回の燃料交換では新燃料208体のうち96体に回収ウランを一部使用した燃料が装荷されるということです。

中部電力プレスリリース

回収ウランには中性子を吸収するアイソトープが混じってしまうため出力が下がるなど、燃焼の特性が通常のウラン燃料と変わります。それにより特に燃焼が微妙なBWRでは経験が必要とされると考えられます。

それと、核分裂生成物やTRU(超ウラン元素)が含まれるため、放射線の量が増えます。これは取り扱う作業員の被曝量を増やします。これが回収ウランがこれまでなかなか使われなかった理由として聞いています。

回収ウランの使用は日本では初めてではありませが、「げんしろう」によればBWRでは実績は1987年に福島第一3号に4体、1993年に福島第二1号に24体、装荷したのみです。

96体というのはいきなりとても多い装荷量であることがわかります。しかしその96体は回収ウランを「一部使用し」ていると表現してあり、それがどの程度の「一部」なのか不明です。

今回の装荷は、データ取得のための実験的なものであるという側面と、「核燃料サイクル」のプロバガンダ的な側面との、ふたつの意図があるとぼくは考えています。

以前から、またつい最近も、このブログでは回収ウランは日本では使わないと表現してきました。これをはっきりと訂正すべきなのか迷っているところです。

六ヶ所で取り出された回収ウランについてはまだ具体的な利用計画は聞いていません。今回の燃料は東海再処理工場で抽出されたものだそうです。


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2007年11月27日

2度目の「破局」に立ち向かう 浜岡裁判原告

インターネット新聞JanJanに久しぶりに投稿しました。

2度目の「破局」に立ち向かう 浜岡裁判原告

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2007年10月18日

東海地震 「2分続く本震、1年続く余震」

7月の中越沖地震のとき柏崎刈羽原発敷地内は震度7だったという計算が京都大防災研究所から報告されていました。

http://www.asahi.com/science/update/0930/TKY200709300128.html

原発はしっかり「震度7」に耐えたではないか!ならばさらに耐震性が強化された浜岡原発ならば東海地震にも当然耐えうる,などという論調が,出てきてもおかしくないような気もします。

しかし,以前にも書きましたが,M6.8の震度7と,M8の震度7とでは違うのです。

マグニチュード=「地震のエネルギー」の違いなのですが,その一つは揺れる範囲の大きさとなります。そしてもう一つが「揺れている時間」の長さです。こちらにこそ真の「破壊力」があるのです。

構造物の耐震性はさまざまな単位や計算で為されますが,どれも最大値ばかりで,「揺れの継続時間」が考慮されることがほとんどありません。

静岡新聞 小山真人氏寄稿静岡大学の小山真人氏は静岡新聞に今年の5月に掲載された文章で,「東海地震を正しくイメージせよ」と言っています。

東海地震のようなプレート境界型の地震は,大規模な余震を長期間に亘って伴うということは,歴史書をひもとかずとも,最近のスマトラ沖地震を考えるだけで充分にリアルです。

揺れの時間に加え、それらもマグニチュード8超の地震の数値に表せない「破壊力」です。

小山氏の文章を読むと,浜岡原発は原子炉を停止させるだけでなく,冷却プールの中の使用済み燃料の移送も考えなければいけないと思いました。

 

書き終えた頃、こんなニュースも見つけましたのでリンクしておきます。

毎日jp:東海地震:5000年に4回「超巨大型」 産総研など調査

参考拙記事
「想定」東海地震は「想定外」中越沖地震の64倍


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2007年10月16日

浜岡原発「止めよう裁判」の判決に注目を

気がついたら2ヶ月以上もお休みしていました。
いろいろあったのですが,基本的に多忙でした。

さて,来る10月26日,ついに浜岡「原子力発電所運転差止請求事件」,いわゆる「浜岡止めよう裁判」の判決が出ます。

昨年の,志賀原発での地震を心配する原告の勝訴という判決(実際にその1年後の日,当該原発は大地震に襲われる)と,7月の柏崎原発直下を地震が襲ったという経験を経て,いったいどういう判決が下されるでしょうか。

しかし,いかなる判決が出ようと,実際に止めるまで,STOP!浜岡という叫びは止めるわけにはいきません。

実のところ,裁判で対象になっているのは4号機までなのです。5号機は入っていません。

仮に勝訴して実際に停止することになっても,5号機は運転を続けるでしょう。

原発震災を完全に避けるには,どうしても世論の力が必要です。

8月から「きまぐれ*かざりえ」に飾っている絵の作者はバルテュス(1908-2001)。
夫人は節子さんという日本人で,最近はエッセイ本などを出版し知る人も多くなっています。彼女は「原発震災を防ぐ全国署名」の賛同人のひとりです。

関連記事

「原発震災」を防ぐ全国署名
http://www.geocities.jp/genpatusinsai/

バルテュス夫人が“原発震災を防ぐ全国署名”の賛同人に!
http://senzafine.livedoor.biz/archives/9142431.html

バルテュス財団オフィシャルサイト
http://www.fondation-balthus.com/


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Nobuo Kasai
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